

HSCのお子さんをお持ちで、登校拒否に悩まれている親御さんはたくさんいらっしゃいます。

「甘やかしている」って思われるんじゃないかな。

また、登校拒否が続くと、親御さんも不安だし、ストレスを感じるかもしれません。
HSCだから「登校拒否」になるわけではありません。

これが登校拒否の原因となりうることがあるのです。
HSCのお子さんが登校拒否になった時、親御さんはどんな対応をしてあげたらよいのでしょうか。
それは
- 無理に登校させない
- 無理な原因探しをしない
- 学校と相談して環境を整える
です。
また、登校拒否になったお子さんにどう向き合っていいか分からなくなりますよね。

- HSCを親御さんが理解する
- HSCのお子さんの感じ方を否定しない
- ポジティブな声掛け
- 周りと比べない
- 生活習慣を整える

Contents
HSCの特徴

「HSC」とは「Highly Sensitive Child(ハイリー・センシティブ・チャイルド」の略で、1996年にアメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士によって提唱された概念です。
「生まれつき感受性が高く、繊細で敏感な気質を持つ」お子さんのことを言います。
HSCのお子さんは、そうでないお子さんと比べて、同程度の刺激に対しても強く反応するとされています。
疾患や障害ではなく、その人の生まれ持った特性であり、 医学的な診断名として認証されているわけではありません。
HSCには4つの特徴があると、エレイン・N・アーロン博士は言っています。
- D:Depth of processing 深く考え、深く処理する
- O:Overstimulation 過剰に刺激を受けやすい
- E:Empathy and emotional responsiveness 全体的に感情の反応が強く、 特に共感力が高い
- S:Sensitivity to subtleties ささいな刺激を察知する
上記の4つの特徴の頭文字をとって「DOES(ダズ)」と呼ばれています。
「DOES」の特徴をもう少し詳しく例を出すと、
- 少しの情報から多くのことを察知する。
- 大きな変化に適応が難しい。
- 環境の変化に敏感で、痛みも感じやすい。
- 様々な可能性を考え、慎重に行動する。
- 音や臭い、光、肌触りなどにも敏感。
- ポジティブな刺激にも、ネガティブな刺激にも影響されやすい。
- 他人の気持ちを察することができる。
- 人に見られていると必要以上に緊張してしまう。
等々
HSCの特徴については下記の記事に詳しく載っています。
是非ご参照ください。
【もしかしてHSC⁉】ひといちばい繊細な子の特徴&良いところの伸ばし方5選
HSCが登校しぶりになる理由は?

先述しましたが、HSCだからといって必ずしも学校が苦手になったり、「登校拒否」「登校しぶり」になるというわけではありません。
しかし、HSCの特徴から学校に対してストレスや不安、疲労を感じることがあり、 これらが、登校拒否の原因となることがあるのです。

学校には刺激が多すぎる
学校には人が多く、家では出さない様々な音、臭い、光といった、たくさんの刺激であふれています。
HSCのお子さんは他のお子さんよりも感受性が高く、刺激にとても敏感です。

これらの刺激は、他のお子さんにとっては何とも感じないことでも、HSCのお子さんには強い刺激であり、ストレスや疲労を与えてしまうのです。
学校には環境の変化が多い
HSCのお子さんは環境の変化にも敏感で、新しい環境に適応が難しいことがあります。
クラス替えや新学期、席替え、係決めなど、学校での生活には環境の変化がとても多いのです。
環境が変われば人間関係にも変化があり、また、新しい情報がたくさん入ってきます。

集団生活、集団行動を強いられる
学校では授業中の発表や、運動会、学芸会などで周囲から注目を受け、緊張する場面が多々ありますね。

それは、お子さんにとって大きな成長をするのに大切な場でもあります。
しかし、HSCのお子さんの中には、人から見られているという緊張やプレッシャーから、本来の実力を発揮できないこともあります。
失敗を深く考えすぎたり、落ち込むことで登校拒否になってしまうこともあるのです。
また、学校では周りと比較されたり、集団の中で競争させられたりすることがあります。
HSCのお子さんは、これに圧力を感じてしまったり、自信を無くしてしまうことがあるのです。
繊細な感情への刺激
HSCのお子さんは、周囲の感情や状況に敏感に察知し反応します。
また共感力が高く、相手の気持ちを思いやったり、自分の事のように感じることができるのです。
この特性が良い面になることもあれば、お子さんが思いつめてしまう可能性もあります。
例えば、先生がクラスメイトを叱っていると、自分が怒られたような気持ちになってしまい、悲しくなってしまったり、誰かがいじめられていたものなら、自分はいじめられていないのに苦しくなったりしてしまいます。

時には当事者よりも傷ついてしまうこともあるのです。
また、学校では先生が大きな声で説明したり、注意をすることがあります。
大きな声はHSCのお子さんにとっては緊張や辛い経験になってしまうことがあるのです。
HSCの登校拒否に親ができる3つの対応とは?

中には
しかし、周りの空気を読み深く考えることのできるHSCのお子さんは、「学校は毎日行くところ」と理解しているし、「学校に行かなければいけない」、と考えている子が多いのです。
行かなきゃいけないのに、「行けない」のです。
では、HSCのお子さんが登校拒否、登校しぶりになった際、親としてどう対処したらよいのでしょう。
それは、
- 無理に登校させない
- 無理な原因探しをしない
- 学校と相談して環境を整える
です。
それぞれ詳しく説明します。
無理に登校させない
HSCのお子さんは前述したように、「学校には行かなきゃいけない」と感じていることが多いです。
それでも「行けない」HSCのお子さんに、登校を無理強いしてしまうと、よりつらい思いをさせてしまいます。

親御さんとしては、学校に行かないことに不安を感じると思いますが、それ以上に不安で辛い思いをお子さんはしている状況なのです。
お子さんに寄り添って、話を聞いてあげてください。
辛い状況を理解してあげる姿勢が大切です。
無理な原因探しをしない
HSCのお子さんの登校拒否の原因、理由がお子さん自身にも分からないことがあります。
小学校低学年のお子さんはまだ語彙力が足りず、自分の気持ちを言葉にして説明できないことが多いのです。
また、高学年になり、言語化できるようになっても、説明できない、言いたくない、ということがあります。
登校拒否が一つの原因でなってしまったのであれば、説明しやすいかもしれません。
しかし、学校で経験したさまざまな事柄が複雑に絡んでしまい、つらい気持ちが限界に達したときに、お子さんは「行きたくない」と感じます。
そうなると、「どうして学校に行きたくないの?」と言われても、決定的な事柄がないため、説明しづらいのです。
説明しても、


親御さんは心配で、学校に行きたくない原因を問いただしたくなると思います。
しかし、お子さん自身も分からないため、責められているように感じてしまうでしょう。
また、友達とのトラブルやいじめといった、はっきりした原因があっても

「言ってしまったら今後どうなってしまうか」
学校と相談して環境を整える
原因が分かっても分からなくても、学校に状況の相談をすると良いでしょう。
もし原因が分かれば、その原因となる刺激への対応をしてくれるかもしれません。
教室での席替えや過ごし方、学校行事の参加の方法について、お子さんの状況に配慮してもらえたり、環境を整えてくれるかもしれません。
また、原因が分からなくてもスクールカウンセラーにつなげてくれたり、保健室の先生が介入してくれたりとお子さんを注意して見守ってくれるようになるでしょう。

何より、親や周りの大人が自分の気持ちを理解し、考えてくれていると分かると、お子さんの安心感につながります。
まずは学校に相談してみましょう。
HSCの登校拒否を乗り越えるために、親として心がけたい5つのこと

HSCのお子さんが登校拒否になった時、親としてどう接していけばよいのか、悩みますよね。
その時は
- HSCを親御さんが理解する
- HSCのお子さんの感じ方を否定しない
- ポジティブな声掛け
- 周りと比べない
- 生活習慣を整える
これら5つを心がけましょう。
HSCのお子さんは、他の人がスルーできてるようなことでもストレスを感じたり、深く考え込んだりしてしまいます。
HSCを親御さんが理解する
まず、親御さんがHSCのことを正しく理解することが大切です。

HSCの特性や対応を知り、お子さんに合った環境とは何かを理解するためです。
HSCについて知らない人はまだまだ多く、教師や医師であってもHSCの知識がある人は少ない状況です。
登校拒否について相談しても、理解のない人からのアドバイスで、お子さんや親御さんが傷ついてしまうこともあります。
そうならないためにも、親御さんがHSCの特性を知って、お子さんを理解し守りましょう。
HSCのお子さんの感じ方を否定しない
HSCのお子さんが学校に行けない理由や、怖がったり不安に感じていることを親御さんが理解できないことがあるかもしれません。
それでも

HSCのお子さんは、繊細な感受性を持っています。
ただでさえ、自分に合わない環境で過ごすことにストレスをためている状況です。
否定されるような言葉を投げかけられるのは非常に辛いでしょう。
また、一番身近な親に否定されてしまうことはとても恐怖です。


「嫌な気持ちになったんだね」
話をしっかり聞いてくれる環境、不安や心配を親御さんが受け止めてくれることは、お子さんにとって
という絶対的な安心感を与えてくれます。
ポジティブな声掛け
HSCのお子さんは良くも悪くも環境に影響されやすい特性があります。
ポジティブな環境は、お子さんの考え方もポジティブにしてくれます。
お子さんのちょっとした成長やできるようになったことに気づいたら、声をかけてあげることは有効です。
失敗してもその中でもよかったところや頑張った点を意識的に伝えてあげてください。
親御さんが自分の良いところを見てくれているという安心感は、大きな自信になります。
周りと比べない
登校拒否のお子さんを見て、

人は「できないこと」に目を向けがちです。
HSCのお子さんは、ネガティブに考えてしまう傾向があり、親御さんが周りと比べてしまうと

「やっぱり私はダメなんだ」
生活習慣を整える
HSCのお子さんに限らず、登校拒否が続くと生活リズムが乱れがちになります。
HSCのお子さんは、生活リズムの乱れがその後に大きく影響がでてしまうことがあるのです。
HSCのお子さんが登校拒否を乗り越えるためには健康的な生活習慣を整えることが重要です。
親御さんはお子さんが規則正しい生活を送れるようにサポートしましょう。
あるHSCの登校拒否体験談

あるママ友のHSCのお子さんは、登校拒否になった際、学校に行きたくない理由が本人にも分からなかったそうです。
小学3年生だったので、まだ自分の気持ちを言語化できなかったのかもしれません。
1~2週間休んだり、また少し学校に行っては休んだりを繰り返したそうです。
そのうちに、

「自分は言われてないけど、裏で人の悪口を言っている女子をよく見るようになった」
「3年生になってクラスが変わったことも嫌だったかな」
「コロナ渦になってから、給食でしゃべっちゃいけなくなった」
どれも「えっ、そんなこと?」といった内容ですが、お子さんにとっては様々なことが積もりに積もって限界を達してしまったのかもしれません。
ママ友は学校と情報を共有し、休みたいときは休ませるようにしたそうです。
休んでいる間は、ドリルや教科書を使って家で勉強し、母親と買い物に行ったり散歩に行ったり、時には2人で遠出をしたりして過ごしたようです。
そして、お子さんが話すときはお子さんが満足するまで聞き、否定せずポジティブに反応することを心がけたそうです。
お子さんにとってはこれが自己肯定感を高めたのではないでしょうか。
身も心も休むことができ、安心することができたのかもしれません。
小学4年生には休む頻度は減っていき、5年生ではほとんど休まずに登校できるようになったそうです。
「学校に行きたくない」と理由で学校を休ませるには、親としてかなり勇気がいると思います。
ママ友曰く、私たちが小学生の時と比べても、学校側は無理にお子さんを登校させなくていいというスタンスで接してくれたようです。

ママ友曰く

親が不安だと、HSCの子は敏感に察知しちゃって不安になるので、学校は休んでいいとドーンと構えるようにしました。
あの子にとって休むことは必要だったと今は断言できます。」
まとめ

HSCのお子さんは、その繊細な感受性から、学校にストレスや不安を感じやすく、時には登校拒否になることがあります。
登校拒否になった時は以下の対処をしてあげましょう。
- 無理に登校させない
- 無理な原因探しをしない
- 学校と相談して環境を整える
また、登校拒否を乗り越えるために親としての心構えとして
- HSCを親御さんが理解する
- HSCのお子さんの感じ方を否定しない
- ポジティブな声掛け
- 周りと比べない
- 生活習慣を整える
上記の5つの心構えをお伝えしました。
HSCのお子さんは「さぼりたい」という気持ちからではなく、行きたいけど行けない状況です。
お子さんの気持ちに寄り添い、少しでも辛い状況を軽くしてあげてください。