HSCのお子さんは、その人一倍敏感な性質から「いやだ」と感じることが多く、また、感じ方も強烈です。
嫌なことから避けたいという気持ちから、「わがまま」と捉えられる行動になってしまいます。
大人になってもこのままなのか…と心配になってしまうかもしれませんが、感情のコントロールができれば大丈夫です。
Contents
HSCが言うことを聞かないのはなぜ?
HSCはなぜ「わがまま」になってしまうのでしょうか。
HSCのお子さんが文句や不満が多く、「わがまま」と感じてしまうのは、HSCの気質の影響があるためです。
HSCを提唱したアメリカの心理学者エレイン・アーロン博士は、HSCにはDOES(ダズ)と呼ばれる基本的な4つの特徴があると言ってます。
D:Depth of processing 深く考え、深く処理する
O:Overstimulation 過剰に刺激を受けやすい
E:Empathy and emotional responsiveness 全体的に感情の反応が強く、 特に共感力が高い
S:Sensitivity to subtleties ささいな刺激を察知する
HSCのお子さんは「過剰に刺激を受けやすい」という性質があるため、
この服チクチクするよ。
このお茶、いつもと違う匂いがする。いつもと一緒のがいい。
また、「ささいな刺激を察知する」性質から、痛みに対しても敏感です。
少しの刺激でも「痛い」と訴えて、大きな病気なのではないかと不安になってしまいます。
HSCは些細な刺激でも徹底的に受け止めてしまいます。ストレスに対して恐怖や怒り、悲しみを他の人より強烈に感じてしまうのです。
これらのことから、「わがままな子」と周りから感じられてしまうことにつながってしまうのでしょう。
HSCは親が甘やかしているから「わがまま」になる?
HSCは、DOESの特徴を持っているため、周りの大人から「わがまま」と捉えられてしまう行動が出てきがちです。
HSCのお子さんは、刺激を受けやすく感情の反応が強いことから、不快な状況にいると不安定になってしまいます。
そんな時、
「優しすぎるからそんなわがまま言うんだよ」
非HSCのお子さんに対しては、それが必要な時もあるかもしれませんが、HSCのお子さんにとっては良い方法とは言えません。
強い言葉は、HSCにとって大きな刺激になり、より不安、恐怖を与えることになってしまいます。
また自分の気持ちを否定されたと感じ、
もしかしたら、癇癪やわがままが強くなることもあるかもしれません。
HSCを提唱したエレイン・N・アーロンさんは下記のように言ってます。
HSCは、空腹、疲労、恥ずかしさやイライラなど、不快な状況や圧倒された状況にいると、すぐに不安定になり、自制心を失い、いうことを聞けなきなります。 そのような事態を避けることは「甘やかし」ではなくて、子供が必要としていることを、あらかじめ満たすということです。
(引用元:一万年堂出版 ひといちばい敏感な子 エレイン・N・アーロン著 明橋大二訳)
そのうえで、HSCのお子さんにとって要求を受け入れてあげることが一番の方法だと分かっているのですよね。
それは、「甘やかし」ではなく、お子さんにとって必要なことなのです。
お子さんの特性に合わせた行動を取られている、それは素晴らしいことなのです。
HSCの「わがまま」は大きくなっても治らない?
わがままは変わらないってことかな?将来ちゃんと自立できるのかしら…
HSCに限らず、子どもたちはみんな成長しながら、気持ちをコントロールできるようになっていきます。
成長すると、HSCという自分の特性を理解し、苦手なことや嫌なことはできるだけ避けるようにできるようにもなります。
もともと、HSCは深く考えて慎重に行動することができるお子さんです。
感情のコントロールが上達すれば優しく思慮深い人なのです。
しかし、今はまだまだ成長中であり、経験の少ないお子さんは、自分の感情に振り回されて「わがまま」になってしまいます。
そこで大切なのがそばにいる親の存在です。
HSCのお子さんにとって自分を導いてくれる、感情のコントロールを示してくれる大人の存在が大切になってきます。
次の項目でお伝えしていきます。
HSCの「わがまま」どうしたらいい?親の対処法を解説
親がまず落ち着く
しかし、ヒートアップしたお子さんに強い口調や、罰、否定などの言葉を使うことはお勧めできません。
HSCのお子さんは、言われた言葉、口調、表情など強く感じます。
より刺激を与えてしまい、ますます興奮して頑なになってしまいます。
そんな時はいったん、親が少し離れて一呼吸おくことをお勧めします。
他の大人に変わってもらうのも良いでしょう。
その場を離れるのが難しかったり、他の大人がいないときは、鼻から3秒吸って口から3秒吐き出す複式呼吸や、冷たい水をゴクゴク飲む方法も気持ちを落ち着かせるのに有効です。
そして、親が落ち着けばHSCのお子さんも徐々に落ち着いてきます。
安心させる
親の気持ちが落ち着いたら、お子さんに怒ってないことを伝えたり、ぎゅっと抱きしめたりスキンシップをとりましょう。
まずは怒っていないこと、「あなたのことが大切だと」感じさせてあげてください。
安心感は心を落ち着かせ、人の声も届きやすくなります。
気持ちに共感し、嫌な気持ちを認める
心や体が「嫌だ」と感じたことに対して、
「どうしてそんなこというの⁉」
「私の気持ちを受け入れてもらえないのは、自分に価値がないからだ」
子どもを肯定する言葉がけは「自分は大切な存在だ」と感じさせてくれます。
「思うようにできなくてつらくなったんだね。」
親が共感してあげることで、お子さんは「自分の気持ちを認めてくれた」と安心します。
HSCは敏感に刺激を受け取る鋭い感覚を持っていますが、なかなかそれを自分で言葉にして表現することが難しいのです。
嫌な気持ちになる理由、解決策を一緒に考える
落ち着いた声で、どうして嫌な気持ちになるのか原因を探してみましょう。
「前は楽しいと言ってたけど、何か変わったことがあったかな?」
たくさんのことを聞かれてしまうと、HSCのお子さんは不安定になってしまうので、質問は1度に一つ。答えるのを待ってみてください。
そして、お子さんとこれからどうすればいいかを話し合ってみましょう。
普段落ち着いているときに、ルールを決めるのも良いでしょう。
例えば
普段から決めておけば、いざ不安定になった時、お互いに衝突を減らすことができます。
まとめ
HSCのお子さんは、刺激を敏感に受とってしまうがゆえに、周りの大人から「わがまま」と感じられてしまいがちです。
もし「わがまま」が現れたらご紹介した対策法を試してみてください。
- 親がまず落ち着く
- 安心させる
- 気持ちに共感し、嫌な気持ちを認める
- 嫌な気持ちになる理由、解決策を考える